- イスタンブールの治安を知りたい
- イスタンブールの治安が悪い・危険なエリアを知りたい
- Airbnb(エアビー)やホテルに宿泊する際の立地に迷っている
- イスタンブール移住に際して、立地に悩んでいる
トルコ最大の都市であるイスタンブールは、中東に位置しつつ過去にテロが発生した経緯もあり、治安面における現地のリアルな雰囲気が気になりますよね。
結論から紹介すると、イスタンブールの治安は総じて良好ですが、残念ながら比較的治安があまり良くないエリアも一部存在します。
この記事では、トルコに在住経験のある僕が、トルコ旅行者や短期・長期滞在者向けに治安状況と合わせてイスタンブールで気をつけるべきエリア・滞在に適していない地区を紹介していきます。
- 当記事にて「危険な地区」として紹介しているエリアについては、個人の経験に基づくもののみならず、複数名の現地人に実際に取材を行った上で判断・掲載しています。掲載内容には、回答者による主観が少なからず含まれている可能性もありますので、ご留意ください。
なお、掲載内容に関する情報やご意見などがございましたら、お問い合わせフォームよりお知らせください。
イスタンブールの治安は概して悪くない
トルコ最大の都市であるイスタンブールですが、全体的な治安状況としては決して悪くなく、繁華街などであれば夜でも出歩くことができます。
海外旅行だからといって気を緩めることなく、日本と同じように
- 知らない人に声を掛けられてもついていかない
- はっきりとNOと意思表示をする
- 貴重品等は常に警戒する
という点に気を付ければ、極度に警戒しなくてもイスタンブールを楽しむことができますよ。
旅行中や短期・長期滞在中にイスタンブールで遭遇しうる具体的な治安状況は以下の通りです。
テロリズム・強盗などの危害に関する面での治安
社会情勢や中東情勢の悪化に伴い、テロリズムなどが起きる可能性は全くゼロではありませんが、2017年1月にナイトクラブで発生した乱射事件以降はイスタンブールで大きなテロ事件は発生していません。
実際のイスタンブールの雰囲気としても、ショッピングモールや公共交通機関、観光地などではX線や金属探知機による厳重なセキュリティチェックが実施されている他、観光客が多く集まる地区では銃を所持した警察による警備も行われているため、ある程度の安心感が感じられます。
ただし、稀にイスタンブール市内でテロ組織が摘発されているため、テロの標的となりやすい外国人の多く集まる場所や政府関係機関などはできるだけ避けるなどの注意が必要です。
政情や社会情勢に関する面での治安
イスタンブールでは、観光客や外国人が多く集まる市街地で社会情勢に対するデモや抗議集会等が行われることがあります。
事前にこのようなデモ活動が行われることが告知されている場合、治安当局は事前にエリアを封鎖する場合もあり、放水銃や催涙ガスなどで対処する場合もあるため、デモや抗議集会等に近づくことは危険です。
日本ではあまり考えられない状況ですが、海外のデモや抗議集会は暴徒化しやすく非常に危険です。
社会情勢や政情によって突発的に大規模なデモ活動が発生する可能性もありますので、万が一旅行中や滞在中にデモ活動が実施される場合は近づかないようにしましょう。
2020年3月8日、国際女性デーに伴う大規模なデモ活動があり、タクシム広場からイスティクラル通りにかけての一帯が広範囲にわたり閉鎖、メトロ等の一部駅も封鎖されました。デモ隊に対して治安当局は催涙弾やゴム弾で対応し、数名が拘束されました。
ぼったくり・窃盗などの面での治安
旅行者や短期・長期滞在者が最も巻き込まれる可能性の高いトラブルが、ぼったくりやスリなどです。
スルタンアフメット地区やガラタ、タクシムなどの観光地が多く集まる地区では、旅行者に対して親しげに声をかけて、仲が良くなった弾みでぼったくりバーなどへ連れ込もうとする事例が多くあります。
大抵の場合は、「自分も旅行でトルコに来ている」「日本に友人がいる」「日本が好きだ」「ガラタ塔はこの方向ではない」などの名目で話かけ、会話が弾んだタイミングで
- 「道を教えてあげる」
- 「近くでパーティーがある」
- 「良いバーを知っている」
- 「絨毯を安く売る」
などと提案してきます。
実在する人物や地名、日本の込み入った事情などを間に挟み、話がかなり作りこまれている場合も多く、安易に警戒心を解いたり仲良くなってしまうと、その後バーで高額な料金を請求されたり、路地裏に連れ込まれてしまう場合もあるので注意が必要です。
イスタンブールで遭遇する最も手の込んでいる詐欺が、ガラタ周辺に出没する靴磨き詐欺です。
すれ違いざまや自分の前でさりげなく靴磨き用のブラシを落とし、拾った観光客にお礼と称して靴磨きを迫ってくるもの。靴磨きが終わるとしっかりと高額なお金を請求されるので、素通りしましょう。ブラシを拾ってしまっても靴磨きは拒否するようにしてください。
交通マナーはかなり悪いので注意
イスタンブールの治安面ではありませんが、トルコ全体的に交通マナーはかなり悪いです。
歩行者の信号無視や速度超過、歩行者がいても停止しない車などが多く、予測不能な運転で進入してくる場合もあるので交通マナーに関しては常に注意が必要です。
イスタンブールの危険なエリアは?
イスタンブールの治安はどこも総じて良好ですが、残念ながら比較的治安があまり良くないエリアも存在します。
トルコは格差社会であり、エリアごとによって住む人々の階級が固定化され、貧富の格差や治安状況の差が比較的はっきりと表れているのが要因です。
イスタンブールに存在する住民コミュニティを大まかに区分すると、
- 中・上流階級エリア
- 宗教色の強い保守的なエリア
- 労働者階級の多いエリア
- 労働者階級が多く、かつ貧困層が多いエリア
の4つに分けることができ、人通りの多い道であっても一本外れると貧困層が多く治安が不安定なエリアであることも多いです。
ここでは、個人的な見解も踏まえつつ、現地人の間でも比較的治安が悪いとされているエリアを地図上で紹介していきます。ここで紹介している周辺エリアを観光・滞在する際は十分に注意しましょう。
- 個人の経験に基づくもののみならず、複数名の現地人に実際に取材を行った上で判断・掲載しています。
掲載内容には、回答者による主観が少なからず含まれている可能性もありますので、ご留意ください。
スルタンアフメット地区およびガラタ橋周辺
観光客にとってはもっとも馴染みのある地区、スルタンアフメット地区とガラタ橋周辺。
このあたりは、人通りの多い昼間や夕方はあまり問題はありませんが、夜薄暗くなると怪しい人物が多くなるので注意。
朝や昼間に比べると、夜は街灯があまりない薄暗い場所が増え、観光客をカモにした不審な人から声を掛けられることが多くなります。
大抵の場合は、先述したように「自分も旅行でトルコに来ている」「日本に友人がいる」「日本が好きだ」などの名目で話かけ、会話が弾んだタイミングで
- 「近くでパーティーがある」
- 「良いバーを知っている」
- 「絨毯を安く売る」
などと提案してきます。
スルタンアフメット地区で流暢に日本語を話しかけてくる人たちは、ほとんどの場合で観光客を対象に強引な客引きやぼったくりを行っているので、親しげに声をかけられても付いていくことのないようにしましょう。
ガラタとカラキョイ周辺
新市街側で観光客が多く訪れるのが、ガラタ塔があるガラタ地区。
このあたりも、昼間は全くと言っていいほど安全で問題のないエリアですが、夜になると薄暗くなり怪しい人物も増えるので注意が必要です。
ガラタ地区にあるトラム(T1)「カラキョイ(Karaköy)」駅西側は、夜になると裏道がかなり暗くなり、靴磨き詐欺や物乞いの人たちが多く出没します。
また、ガラタ塔周辺の人通りが多い小道の裏側には公営風俗があるため、柄の悪い人たちの人通りも増えるので注意が必要です。
地図上で示しているオレンジの線は、ガラタ塔前の小道とイスティクラル通りで、この通りは深夜まで多くの人々で賑わっているので安心して歩くことができますよ。
ガラタ塔前の人通りの多い小道を外れると、公営風俗があります。
この公営風俗は、入り口に金属探知機が設置されており周辺では警察によるパトロールも行われています。
現地人は敷地内に無料で入場できますが、外国人の場合は「入場料」という名目で賄賂を請求されます。不要なトラブルを避けるためにも、公営風俗付近に立ち入るのはおすすめしません。
タルラバシュ(Tarlabaşı)地区
イスティクラルやタクシム広場の北側にある交通量の多い大きな道路の反対側に位置しているのがタルラバシュ(Tarlabaşı)地区。
この地区はイスタンブールのスラム街とも言われているほどで、反社会的勢力や薬物取引の巣窟になっていると言われています。明るい昼間でさえ不穏な空気が漂っており、気軽に立ち入ることはおすすめしません。
また、そのさらに北側に位置しているドラプデレ(Dolapdere)地区も同様に危険な地区なので、意図的に立ち寄るのは危険です。
ほとんどの観光客にとって、これらの地区は無縁であるものの、観光客や短期・長期滞在者にとって厄介なのが、このあたりはAirbnbの宿泊施設が多いということ。
Airbnbではこの地区や周辺にある施設が格安価格で貸し出されていることが多く、ホスト側も十分な説明をしないままゲストに貸し出していることが多いです。
タクシム広場やイスティクラル通りに近いため何も知らない旅行客はつい予約してしまいがちですが、このあたりの物件は絶対におすすめしません。
バージュラル(Bağcılar)地区
イスタンブールの中心地を結んでいるトラム1号線(T1)の終点であるバージュラル(Bağcılar)。
この地区はイスタンブールの郊外に位置しているため、観光客にとってはほとんど関わりのないエリアですが、現地人の間ではイスタンブール有数の危険な地区として認識されています。
イスタンブールの中でも物騒な地区なので、短期・長期滞在の際にこのあたりに宿泊する際は注意しましょう。
ギュンギョレン(Güngören)地区
バージュラル(Bağcılar)のすぐ近くにある街、ギュンギョレン(Güngören)地区。
バージュラル(Bağcılar)地区に並ぶほど治安が悪いとされ、過去には多数の死者を出す爆弾テロが発生した経緯もあり、バージュラル(Bağcılar)地区と合わせてこの付近に滞在するのはあまり得策ではありません。
観光客にとっては、この地区もイスタンブールの郊外に位置しているためほとんど関わりのないエリアではありますが、近くにはトルコ国内各地へのアクセスに便利な長距離バスが発着するオトガルもあるため、ホテルなどに宿泊する際は立地に注意しましょう。
ガジオスマンパシャ(Gaziosmanpaşa)地区
イスタンブール市民にとって印象のあまり良くない地区の1つなのが、イスタンブール旧市街側郊外に位置するガジオスマンパシャ(Gaziosmanpaşa)地区。
この地区もまた労働者階級で構成されている街で、政策の流れから十分な整理事業をされてこなかった経緯もあり、イスタンブールの中ではタルラバシュ(Tarlabaşı)地区と並びスラム街とされることが多いです。
特に、ガジオスマンパシャ(Gaziosmanpaşa)地区の中心部にあるサルギョル(Sarıgöl)地区は、マリファナの栽培や薬物取引が行われているなど、非常に危険な地区なので絶対に近寄らないようにしましょう。
観光客にとってはやはりなじみの薄い郊外ではありますが、近くには観光客にも人気の高いBalat(バラット)地区やピエール・ロティのチャイハネなどもあるため、滞在する際は注意が必要です。
イスタンブールの治安は比較的良好!長期滞在は立地にも注意。
この記事では、トルコに在住経験のある僕が、トルコ旅行者や短期・長期滞在者向けにイスタンブールで気をつけるべきエリア・滞在に適していない地区を紹介しました。
まとめると、イスタンブールの治安は総じて良好であり、日本と同じように
- 知らない人に声を掛けられてもついていかない
- はっきりとNOと意思表示をする
という点に気をつければ、基本的には安心して旅行ができると言えるでしょう。
ただし、トルコという国の土地柄、社会情勢や中東情勢の悪化に伴いテロリズムや大規模なデモ活動が行われる可能性もゼロではありませんので、常に最新情報を入手するよう心がけましょう。
また、イスタンブールは地区によって住んでいる人々の階級や宗教色に違いが見られることもあり、イスタンブールにあまり詳しくない状態で滞在拠点を安易に決めてしまうと、思わぬリスクを被ることも。
旅行はともかく、イスタンブールに短期・長期で滞在する場合は滞在拠点の立地について詳しく調べ、リアルな情報を把握するよう心がけましょう。
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